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水中撮影レポート 連載第2回 「ホワイトバランス」の巻
(タイ・タオ島 2006/4/29〜2006/5/4)

朝6時。タオ島に、着きました。  
プーケット→スラタニからのナイトボートに揺られ7時間。ボートは一人1畳ほどの板スペースに雑魚寝です。
布団もない状況でしたが旅の疲れもあってよく眠れました。
 
ゴールデンウィークの間、ダイビングリゾート「コーラルグランドダイバーズ」に滞在。
 以前3ヶ月間、ダイビングのプロライセンス、’ダイブマスター’トレーニングを受けた場所です。
今回はここでガイドアシスタントをしながら、水中撮影をさせてもらうことになりました。

タオ島の海。
シミランのような、派手さはないのですが、他では見られない変な魚がいたりして、何度潜ってもおもしろい海です。
また、ここはジンベイザメが出る海として知られています。
プランクトンが多く、栄養分が高いのが特徴です。
そのため透明度はあまり良くありません。
透明度が良くないということは、光が散乱してしまい、光の強さや物体のコントラスト、彩度を低下する原因になります。
とにかく、海の青い色を出すのに試行錯誤です。
まず、ホワイトバランスの設定。
 
ホワイトバランスとは、異なる性質の光源に対し、白いものが白くなるよう調整する機能のことです。
 
陸上では通常、白い紙などを使い、ホワイトバランスをとる作業をします。これをすることによって、現場の白という色をカメラに憶えさせるのです。

試しに、陸上と同様に白でホワイトをとってみました。写真のように白いフィンを使って。
すると、見事に青みがなくなってしまいました。
水中の場合、結局「青」でホワイトバランスをとるということになるので、カメラが青を消そうと働き、映像の色は青みが落ちたものになります。
 
次に、DVC-30メニュー中にある「タングステン(電球)プリセットモード」で撮ってみました。
すると画面が白く抜けてしまって、とても見られたものではありません。
 
淡いピンクでは?これもイマイチです。
結局、一番きれいな青を出すのには、写真のような電球の光が当たっている所(陸上)でホワイトバランスをとり、そのままの設定を水中に持ち込むのが一番だということがわかりました。
 
しかし、このホワイトバランスを維持したまま太陽下の陸上で撮影すると下の写真のような、朝なのに夕暮れみたいな色になってしまうので、ホワイトバランスは、陸上用と水中用との2つを設定することが必要になります。
 
なお、AWB「オートホワイトバランス」も多用しました。
海中では深さによって海の明るさが全く違うため、
オート機能は一番失敗がない方法です。
 
 ただ、きれいな青を出したい時は、やはりマニュアルでの操作を試したいというのが感想です。
次に、水中での色の消失について。
 
 エントリー直後、水深1〜2m。
フィンの赤に注目!
水深12
m。 フィンの赤味がなくなっている!!
スレートの黄色は色味が残っているのに対し、フィンの赤は完全に消えていることがわかります。
 
<水深と、色の関係>
6m以深 赤が消える
10m以深 オレンジが消える
20m以深 黄色が消える
  〜   緑が消える
  〜   青が消える
30m以深 モノクロに見える

水深と光の減少について。

<水深と光量減少の関係>
 
水面の光の量を100%とすると・・・
 5m 光は75%に減少
10m 光は50% に減少=(水面の2倍の露出が必要)
30m 光は20% に減少
 
 
<光量減少の原因>
 
・光が水面で「反射」(海が荒れているほど反射率は大)
・水中の浮遊物で「拡散・散乱」される
・水自体に直接「吸収」される
・屈折すると単色光に「分散・分解」される
 
参考文献:
「サミュエルソン映画撮影読本」 監修:日本映画撮影監督協会
「映画撮影技術ハンドブック」 写真工業出版社
水深3m ハナビラクマノミ
明るい光。赤味が残っています。

水深15m 赤味は消えています。

水深3m クリスマスワーム
明るい光。赤味が残っています。
では、赤味を表現するにはどうしたらいいのでしょうか。
 
7m付近ではピンク色のフィルター
7m〜25mはオレンジ色のフィルターを入れたりします。
また、光量の増幅についてはストロボやライトなどの補助光を使う方法があります。
 
しかし今回私は、フィルターも、水中ライトも使用しませんでした。
予算の関係上・・・というのもあったのですが、
フィルターやライトを使うと、 どうしても不自然な箇所がでてきてしまうのです。
「あ、これライト当ててるな・フィルター使っているな」と判ってしまうことが度々ありました。
ある方にこんなお言葉をいただきました。
 
「水中ライトを使わないビデオ撮影がどうなるかという点で田中さんの作品は水中ビデオ界に殴り込みができると思う」
 
・・・うれしいお言葉でした。
フィルターとライトについては、まだまだ自分自身、未知な部分が多いので、これからいろいろと検証していきたいと思っています。
ゴールデンウイークのため日本人のゲストが多く、連日一日2本から4本潜りました。
夜は食事をしながら上映会です。
インストラクターに、「魚よりも人を多く映していますね」と言われました。
私にとって恩師にあたる彼は、「水中で、魚よりも人の映像を撮りたい」と私が2年も前に言った言葉を覚えていてくれていました。
 
そうなのです。私が水中撮影をしたいと思ったきっかけは、「水中にいる人の表情を撮りたい」
というものでした。
2年前の思いが、今も続いていて、同じ海に戻って来られたことが不思議で、そしてうれしかったです。
 
こうして、毎日厳しくも、中身の詰まったゴールデンウイークが終わりました。
 
さて。次はどこに行こう。
明日から潜る場所もそうですが、
今夜から滞在する宿を見つけなくてはなりません。
また、40kgの荷物を持って、移動です。
期待と不安を胸に、コーラルグランドダイバーズを後にしました。
 
 
【次回へつづく】
 
【提供】パナソニックDVワークショップスタジオDU  AG−DVC30
株式会社DIV 水中ハウジング

田中しげみ プロフィール
hand SOME woman (ハンサムウーマン)代表 

神奈川県横浜市生まれ
大学卒業後OL、オーストラリア小学校での
日本語教師などを経て、ダイビングの世界にのめりこみ、単身タイへ。
水中撮影と出会う。
一般のゲストを撮影し販売するというヨーロピアンスタイルに衝撃を受 け、
イギリス系水中撮影会社でトレーニングを受ける。

帰国後、映像プロダクション’ハンサムウーマン’設立。
映画カメラマン 能勢 広氏に師事。
学園ビデオ・ブライダル・ライブ撮影等、陸上の撮影もこなす。

OL時代、広報部CSR課(企業の社会的責任)で働いた経験を生か
し、人と環境に特化したカメラマンをめざす。
目下、海中出産ドキュメンタリー撮影などを計画中。

PADI ダイブマスター Emergency First Response
Speciality Diver-Underwater Videographer
極真空手3級

※2006年7月アップルコンピュータ主宰 iLife '06 Movie Contest テーマ「夏」 に水中映像で応募し優勝。


感想・ご質問等はお気軽に。
hand SOME woman 〜ハンサムウーマン〜http://www.purple.dti.ne.jp/sea/
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